こんにちは。Naobirdです。
曲面印刷とはなにか?円柱の筒を想像していただき、丸まった全周部分に対して、如何に印刷を施すかを指しています。形状は商品によって異なりますので、印刷方法と一口に言っても多種多様な方法がございます。「情報を印字する」方法には下記が挙げられます。
「情報を印字する」方法の手段として
シルク印刷(スクリーン印刷)について
シルク印刷、またはスクリーン印刷は、画面にインクを通して素材に直接印刷する技術です。主に平らな表面に使われ、様々な材料に持続的で高品質な印刷が可能です。
パッド印刷について
パッド印刷は、弾性のあるシリコーンパッドを使用して、凹凸や曲面などにインクを転写する印刷方法です。非常に精密で複雑な形状への印刷が可能で、工業製品や小物へのロゴやマークに広く利用されます。
UVインクジェット印刷について
UVインクジェット印刷は、紫外線硬化インクを使用して素材に直接印刷する技術です。速乾性で多様な素材に適用可能で、高解像度かつ耐候性があります。
カッティングシールについて
カッティングシールは、コンピュータ制御の切削機でデザインされた形状をカットしたシールです。車両デカールやウィンドウステッカーなどに広く使用され、素材に直接貼り付けることができます。
ステッカー(シール)について
ステッカーは印刷よりもデザインの自由度が高く、カッティングシートを用いて精密な形状や文字が可能です。印刷に比べて耐候性が優れ、屋外での使用に適しています。また、小ロット生産でもコストが抑えられ、単価が比較的リーズナブルです。デザインの細部や形状にこだわり、耐久性を求める場合にステッカーは有利です。
印刷媒体の種類
曲面印刷は、平らなサーフェスではなく曲がった表面に印刷する技術です。この技術は様々な商品で使用されており、以下にいくつかの代表的な曲面印刷が行われる商品の例を挙げてみましょう。
- ボトルや容器: 飲料や化粧品のパッケージ、瓶などの曲面にはしばしば曲面印刷が使われます。これにより、ブランド名や製品の情報が立体的で見栄え良く表示されます。
- 自動車部品: 自動車の部品や車体には曲面が多く存在します。例えば、車のボディやダッシュボード、内装パーツなどが曲面印刷の対象となります。
- 電子機器: スマートフォン、タブレット、ラップトップなどの電子機器には曲面印刷が用いられます。これにより、製品にスロープ状の曲線やデザインが施され、美しさや機能性が向上します。
- 眼鏡: 眼鏡のフレームやレンズにも曲面印刷が適用されます。特に、デザインやブランド名が曲面にフィットするように印刷されることがあります。
- スポーツ用具: ゴルフボール、サッカーボール、ヘルメットなどのスポーツ用品にも曲面印刷が一般的です。これにより、製品にロゴやデザインが施され、視覚的なアピールが向上します。
- 家庭用品: 曲面印刷は家庭用品にも広く使われています。例えば、食器やキッチン用具、家庭電化製品などが挙げられます。
これらは一般的な例であり、技術の進歩や新しいアプリケーションの開発により、曲面印刷が使用される商品は広がっています。商品のデザインやブランドアピールを向上させるために、曲面印刷は幅広い産業で利用されています。
媒体ごとで「出来る」「出来ない」が存在
印刷媒体の商材の形状が、「出来る」「出来ない」の判断として、平滑ではない凹凸があった場合、シルク印刷では難しい。
しかし、ミマキ/ローランドから出ているUVインクジェット機器(フラットベッドタイプ)であれば、インクを吹き付けての印刷仕様なので、凹凸があっても印刷が可能です。
UVインクジェットのデメリット:印刷時間が1本に10分はかかってしまう点があり、量産には不向き。大量に作成する場合、物理的な時間の制約が生じてしまう為、印刷機の台数が必要になってきますし、人件費のコストが直結するため、1本あたりの価格に直結し高くなる。
単価についてのメリット、デメリット
例として、1,000本を3週間で印刷物を作成してほしい。と依頼が来たとします
UVインクジェットの場合
データさえあれば、印刷位置を確認後、量産の印刷は… 時間次第で可能です。
作成が1本1本の印刷は変わらない点だが、UVインクジェットヘッドが往復時間するのに10分以上かかってしまうのが欠点。スクリーン印刷では、1分ほどで印刷ができてしまうので、時間的な差が生じてしまう。
※量産ではなく10本以下で多種類のデザインを作成時には、おススメ!
メリット
・すぐ印刷に取り掛かる環境が整う
・多色印刷が可能(CMYKに限る)
→色同士の色ズレが起こりにくい
デメリット
・印刷時間が物理的にかかってしまう(ヘッドの往復時間10〜15分)
・特別な色インクの印刷ができない(蛍光色、夜光塗料、艶有・艶消)
・耐光性が1.5〜2年と短期間である
印刷を実際にした時の時間シュミレーション
1本あたりの印刷時間:10〜15分
→10分✕1,000本=10,000分
10,000÷60=167時間
167÷8時間(1日労働時間)=20日
1週間労働日数:5日なので、4週間かかってしまう計算。
3週間の納期に対して、時間的ロスがでてしまう。
残業で間に合わせるか、納期に間に合わないので、無理。と断る決断が必要となる。
※途中で不良は不備が出た場合、リカバリーには時間が必要な為、徹夜作業をしたとしても、リカバリーができない場合が起きてくる。
スクリーン印刷の場合
水と空気以外に印刷が可能・・とよく謳われている。下記が準備の流れになります
UVインクジェットとは違い、量産には向いているが、これは1色までの話で、2色以上の場合、1色目を印刷後、2色、3色の場合は、同じ工程+色ずれしない様、印刷技術が追加で必要になる。
局面印刷になると、色同士がズレないように印刷するのは至難の業が要求される為、2色以上の印刷は不向き。(職人の技量にはなるが、不可能に近い)
- データを作成
- フィルム作成
- シルク版の製版
- スクリーン版の設置
- 治具を設置後、試し刷り
メリット
・印刷版を準備するのに時間がかかるが、量産態勢が作れる
・特別な色インクの印刷が可能(蛍光色、夜光塗料、艶有・艶消)
・1C印刷の場合は、印刷後の完成が早い
デメリット
・多色印刷すると、色同士の色ズレに注意が必要
・多色の場合は、1色ごとに印刷を刷った後、次の色を重ねるので時間がかかる
・耐光性が3〜7年(インクの成分や色による)と長期間である
印刷を実際にした時の時間シュミレーション
データ作成・スクリーン紗張り・製版:3日
印刷準備・治具合わせ・位置合わせ印刷:1〜2日
1本あたりの印刷時間:1〜2分(1Cあたり)
※スクリーン版の洗浄を100点ごとに間に挟むが、計算に含まない
→2分✕1,000本=2,000分
2,000÷60=34時間
34÷8時間(1日労働時間)=4.5日
1週間労働日数:5日なので、印刷:1週間+印刷の準備:5日
ただし、インクを乾かす時間が必要なので、プラス2日で考えた場合、12日で完成
用途・コストで印刷技法は、考えましょう
印刷コストについては、各企業の技量や品質等、ブランド価値もあるため言及はしませんが、【安いからいい仕事をしてくれる】のは理想。現実は、値段だけで判断はできません。
使用用途や精度を追求される場合、リアルで印刷の担当者と商談、進行されることをオススメします。指定外の印刷範囲や印刷位置について、臨機応変に対応してイメージ通りに仕上げてくれるのは「現場」です。
イメージ通りに印刷できたとしても、何度やっても同じ商品が仕上がる再現性について保証はないので、信頼性のある技術を持った企業を探すのが先で、価格ありきで企業を選定すると痛い目を見ます。
技術力を測る指標として、自社の出来ることのみを語る企業よりも、
注意すべき点をどれだけ指摘してくれるか?
助言や提案をしてもらえるか?
代替え案は出てくるのか?
辛抱強く人間同士の会話のやり取りをしてくれるのか?
人の技術を買う訳なので、あまり値段ばかりを前面に話すよりも、予算をある程度、余裕を持たせて相手にもメリットとなる商談ができるようにすると、信頼関係は深くなり、無理難題に対しても真剣に向き合ってくれるいい相談相手になってくれるでしょう!